2016年3月26日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のX線天文衛星「ひとみ」が突然、通信途絶しました。JAXAは全ての部門を総動員して、原因究明と「ひとみ」の機能回復の可能性をさぐる作業に臨んでいます。 JAXAの衛星や探査機が通信途絶したのは初めてのことではありません。中でも小惑星探査機「はやぶさ」は、目的地の小惑星「イトカワ」の近くで2か月近くにわたって通信が途絶しました。しかしその後、原因を究明して対策を立て、最終的に地球への帰還に成功したことは有名です。 宇宙を飛行する探査機や衛星は、人が行って修理や点検をすることが極めて困難です。そんな中で、限られた情報から原因を推定するために使われる手法のひとつが「故障の木解析」(FTA)です。 あらゆる可能性を拾い出す 「故障の木解析」は、得られている情報をもとに、そういうことが起きる可能性があり得るような、あらゆる可能性を書き出すところから始まります。たとえば、車のエンジンを始動できなかったらどんな可能性があるでしょう。車のバッテリーが上がっている、燃料が切れている、始動スイッチが故障している…など、いくつもの可能性を挙げることができます。可能性のある全てのことを、見落とさずに書き出すことが重要です。 次に、書き出したこと全てについて、別の情報と照合します。たとえば「バッテリーが上がっている」を考える場合、「スターターモーターは回った」なら、可能性が否定されるでしょう。そうでないなら、さらに詳細に可能性を書き出してチェックする、を繰り返していくわけです。繰り返すたびに可能性が細かく分岐して行く様子から「故障の木」と呼ばれる図が出来上がります。そして、分岐した先で否定されなかった選択肢こそが、真の事故原因だと推定できるのです。 金星探査機「あかつき」を救った故障の木 JAXAは過去にも「故障の木解析」を実施して、結果を公表しています。そのひとつが金星探査機「あかつき」の金星軌道投入失敗に関するものです。 2010年12月7日、「あかつき」は地球から遠く離れた金星に接近し、そこで減速して金星を回る軌道に乗るためのロケット噴射を行いました。ところが「あかつき」は金星を回る軌道に乗っておらず、そのまま金星を素通りしてしまったのです。

情報源: X線天文衛星「ひとみ」を救えるか、「故障の木解析」とは | Sorae.jp : 宇宙(そら)へのポータルサイトGIGAZINE

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